研究課題/領域番号 |
18200041
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研究機関 | 鹿屋体育大学 |
研究代表者 |
芝山 秀太郎 鹿屋体育大学, 学長 (00162644)
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研究分担者 |
竹倉 宏明 鹿屋体育大学, 体育学部, 教授 (00206963)
田巻 弘之 鹿屋体育大学, 体育学部, 准教授 (40253926)
宮地 元彦 国立健康・栄養研究所, プロジェクトリーダー (60229870)
藤本 敏彦 東北大学, 高等教育開発推進センター, 講師 (00229048)
佐古 隆之 日本女子大学, 家政学部, 講師 (20339477)
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キーワード | 運動誘発性ストレス / 慢性疲労 / 運動 / PET / 糖 / 前頭連合野 / 二次視覚野 / 思考 |
研究概要 |
運動誘発性ストレスは一過性疲労、蓄積性疲労、及びオーバートレーニングに代表される慢性疲労に分類される。精神性慢性疲労は脳局所の機能低下が要因であることが報告されている。本研究は、運動により引き起こされる蓄積性疲労時の脳活動を、ポジトロン断層法(PET)を用いて観察し、運動誘発性慢性疲労が起こるメカニズムの一端を明らかにすることを目的とした。運動習慣のない健康な男子学生7名を被験者とした。被験者は90分間の自転車エルゴメーター運動を1日2回(合計180分間)、55%VO2max強度で4日間連続試行した。運動期間の前、中、後日に感情チェックリスト(MCL-S2)、主観的疲労度(VAS)、フリッカー値(CFF)を測定した。脳PET測定は運動期間の前、後日に安静状態で行った。30分間以上の安静の後、グルコースの疑似体である[18F]-fluoro-deoxy-glucose (FDG)を被験者に投与し、40分後より撮影を開始した。画像解析はソフトウェアStatistical Parametric Mapping (SPM2)を用いた。VASには運動継続に伴う上昇は認められなかった。またMCL-S2に運動に伴う一定の傾向は認められなかった。CFFは運動継続に伴い低下し、運動前に比較して運動4日目と運動終了翌日において有意な(p<0.05)低下が認められた。運動前に比較して、運動後に前頭連合野と後頭葉(二次視覚野)の糖取り込み能の抑制が観察された。疲労のバイオマーカーであるCFFに有意な低下が認められたことから、被験者は軽度の蓄積性疲労状態にあったと考えられる。PET測定において活動低下が観察された前頭連合野は思考を司る領域である。また、二次視覚野は視覚の情報化を司り、注意力に大きな影響を与える。これらの脳領域の機能低下が続くことで運動性慢性的疲労が発症する可能性が示唆された。
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