研究課題
(1) 経頭蓋磁気刺激による大脳皮質運動野のマッピングとスポーツ選手の中枢運動伝導時間の同定、反応パフォーマンス改善の試みについて検討した。解剖学的運動野から機能分布を検討するために、マッピング作業を行った結果、右手指の筋については、国際10-20法のC3点から2~3cm外側後方において運動誘発電位最大振幅を得たことから、ここに手指の運動に関与する中枢が局在するものと推察された。スポーツ選手を対象に、大脳皮質運動野への経頭蓋磁気刺激及び脊髄刺激を行い、その時間差から中枢運動伝導時間、視覚-運動関連時間(VMRT)を算出し、反応時間との相関関係について検討した。上肢、下肢各筋への運動誘発電位(MEP)潜時はそれぞれ約13msecと27msecであり、皮質伝導時間は約6msecであった。全身反応時間において、光刺激から認知、中枢での信号処理にかかる時間(VMRT)が大きな比重を占める(約90%)ことが推察された。(2) 交感神経活動の骨組織や骨格筋への影響を組織細胞レベルで検討した。高血圧自然発症ラット(SHR)を用いて、骨格筋及び骨組織構造の違い並びに量的構造的変化について検討した。SHRラットでは心拍数、血圧が有意に高く、高血圧を発症しており、フラクレット解析により交感神経亢進状態を有した。また、筋湿重量、骨梁面積、類骨幅、骨量面積当たりの類骨面積は有意に小さいことが示された。SHRは骨量低下を引き起こすと共に、骨梁構造や骨形成に負の影響があることが推察された。SHRラットに6遮断薬を投与したり、軽微な運動を行わせることにより骨量の増加、骨芽細胞の活性が認められた。以上の結果から、交感神経を介した骨量の調節機序があるものと示唆され、適度な運動の骨量維持改善に対する効果は、メカニカルストレスや液性因子に加え、神経性にも影響を及ぼす可能性が考えられる。
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