研究課題/領域番号 |
18201001
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
久万 健志 北海道大学, 大学院・水産科学研究院, 教授 (30205158)
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研究分担者 |
齋藤 誠一 北海道大学, 大学院・水産科学研究院, 教授 (70250503)
磯田 豊 北海道大学, 大学院・水産科学研究院, 准教授 (10193393)
長尾 誠也 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究院, 准教授 (20343014)
鈴木 光次 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究院, 准教授 (40283452)
中塚 武 北海道大学, 低温科学研究所, 准教授 (60242880)
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キーワード | 海洋科学 / 化学海洋学 / 基礎生産 / 鉄 / 栄養塩 / ベーリング海 / オホーツク海 / 日本海 |
研究概要 |
本研究では、縁辺海である北極海を含むベーリング海及び日本海について、基礎生産に関連する鉄の挙動とその起源を、北西部北太平洋親潮域の春季植物プランクトンブルーム時期の鉄と比較検討した。 1、 北西部北太平洋親潮域の春季植物プランクトンブルーム:冬季鉛直混合により、鉄は栄養塩と同様に表層にもたらされている。また親潮域の表層では、高い鉄と栄養塩濃度を持ったオホーツク海由来の流入を観測した。このことにより、春季親潮域における基礎生産を支える鉄の起源は、冬季鉛直混合によるものとオホーツク海由来の流入による表層への鉄の供給と考えられた。 2、 東部ベーリング海海盆域、大陸棚斜面域及びベーリング海峡:海盆域表層では、栄養塩は豊富に存在しているが、クロロフィルa濃度が低く抑えられている鉄欠乏型低クロロフィル(HNLC)海域であり、大陸斜面域での長期にわたる植物プランクトンブルームは、大陸棚底層からの鉄と海盆域での栄養塩供給によって維持されていると考えられた。またベーリング海峡における長期植物プランクトンブルームの維持についても、海峡通過時における鉛直混合での鉄と栄養塩混合によると推察された。 3、 日本海:日本海盆及び大和海盆全域において、栄養塩は欠乏状態にあり、海盆表層水に栄養塩添加培養実験にてクロロフィルa濃度が増加し、日本海表層は鉄豊富な栄養塩欠乏型低クロロフィル海域であることがわかった。これは、アジア大陸に近い日本海には大気からの鉄供給があり、表層の鉄は生物利用可能な鉄であると推定できた。
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