研究概要 |
平成19年度は、平成18年度より継続して、細胞内に硝酸態窒素(NO_3^-)を高濃度(〜1,000mM)に蓄積するイオウ酸化細菌(Nitrate Accumulating Sulfur Oxidizing Bacteria,NA-SOB)の動態と、堆積物からの硫化物(ΣH_2S)の溶出との関係、及びNA-SOBと鉄(Fe)循環との関係についての現場調査を行った。現場調査では、東京湾湾央部水深20mの1地点において、堆積物表層におけるNA-SOBのbiomass、population、intracellular.NO_3^-濃度、ΣH_2Sの濃度プロファイル、堆積物からのΣH_2Sの溶出速度、及び堆積物中のFeの形態別(FeOOH、Fe^<2+>、FeS、FeS_2)濃度プロファイルの測定を行った。Feの形態別の測定は、間隙水、アスコルビン酸抽出、塩酸抽出、オキザレイト抽出、及びダイサイアナイト抽出により行った。底層水の溶存酸素濃度が高い冬季には、堆積物表層には10〜25mmのΣH_2Sが存在していない層が形成されていた。しかし堆積物表層のNA-SOBの密度は検出限界以下であり、またΣH_2Sとの反応性が高いと考えられる形態(FeOOH)のFe濃度も検出限界以下であった。これらの結果は、ΣH_2Sの酸化過程として、NA-SOB及びFeが関与していない新たな過程が機能している可能性を示唆していると考えられた。
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