研究課題
基盤研究(A)
DNAに反応して発がん性を示す遺伝毒性発がん物質の作用には「閾値(無作用域)」が存在しないとされ、どのように低用量であってもヒトに対してリスクを負わせものと考えられている。だがヒトには各種の生体防御機能が存在し、低用量での遺伝毒性作用を不活化し、事実上の閾値を形成する可能性が考えられる。本研究では、損傷を乗り越えてDNA合成を行うトランスリージョン(TLS)型DNAポリメラーゼが「遺伝毒性の閾値」形成にはたす役割を明らかにすることを目的とする。TLS型DNAポリメラーゼは、DNA損傷部位で進行を停止する複製型DNAポリメラーゼに代わって損傷部位でのDNA合成に関与する特殊なDNAポリメラーゼである。損傷部位で複製が中断されると、DNA二本鎖切断が生じ染色体異常が生じる。また誤った塩基が損傷部位の向かい側に挿入されると突然変異が誘発される。したがってTLS型DNAポリメラーゼは遺伝毒性の回避に関与しており、その欠損細胞は化学物質などの遺伝毒性に高い感受性を示すことが予想される。本研究では、TLS型DNAポリメラーゼの一つであるDNAポリメラーゼκ(以下Polkと略)の(1)機能解析を行うとともに、Polkの活性を消失した(2)ヒト細胞株と(3)ノックイン(KI)マウスを樹立し(4)「遺伝毒性に関する閾値」形成にトランスリージョンDNA合成がはたす役割について検討する。
すべて 2009 2008 2006 その他
すべて 雑誌論文 (4件) 学会発表 (1件) 備考 (1件) 産業財産権 (1件)
mismatched-primer extension by human DNA polymerase k, Biochem 48
ページ: 4329-4246
J. Health Sci 55
ページ: 40-49
Genes and Environ 30
ページ: 108-113
Ann. Rev. Microbiol 60
ページ: 231-253
http://dgm2alpha.nihs.go.jp/