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2006 年度 実績報告書

水熱ナノプロセスによる固体廃棄物のリサイクルと資源回収に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 18201012
研究機関名古屋大学

研究代表者

伊藤 秀章  名古屋大学, エコトピア科学研究所, 教授 (60109270)

研究分担者 吉田 寿雄  名古屋大学, エコトピア科学研究所, 助教授 (80273267)
笹井 亮  名古屋大学, エコトピア科学研究所, 助手 (60314051)
キーワード水熱ナノプロセス / 資源回収 / 無機固体材料 / 無機廃水 / 水熱酸化 / 水熱鉱化
研究概要

平成18年度は,水熱ナノプロセスによるリサイクル・資源回収技術の体系化と集大成を目指し,以下のようなテーマに関してそれぞれ検討し成果を得,その二部を学術雑誌へ投稿し,掲載された.
1.超硬合金からのWの回収
近年高騰を続けるWを大量消費する材料の一つであるWC-Co超硬工具からWを一次原料として利用可能な三酸化タングステンとして回収するために,硝酸を酸化剤とした水熱処理を試みた.その結果,硝酸の濃度と温度を最適化することにより,純度99%以上の三酸化タングステンを高収率で回収できることが明らかとなった.また,フッ化水素酸を適量添加した処理により,WC骨材粒子の粒径やCo添加量の違う工具,特性制御助剤の添加された工具,酸化等防止用表面コーティングを施された工具を処理した場合であっても,高収率かつ高純度でWを三酸化タングステン粉末として回収可能であることを明らかにした.
2.廃水中の硫酸ジルコニウムを利用した材料合成
これまでの研究成果としてPZT焼結体からの湿式ボールミルによる鉛の回収で得られるZrの硫酸塩を含む廃水の処理のため,リン酸存在下での水熱合成を行ったところ,廃水中のZrを吸着剤などに利用可能な材料であるリン酸ジルコニウムとして回収可能であることを明らかにした.
3.水からのフッ素,ホウフッ化物,ヒ素,アンチモンの資源として分離回収と資源化
水熱鉱化廃水処理法により,フッ素,ホウフッ化物,ヒ素,アンチモンをアニオンとして含む廃水の処理を試みた.その結果,フッ素は蛍石,ホウフッ化物はパラシビルスカイトと蛍石,ヒ素はヒ素アパタイト,アンチモンはアンチモン酸カルシウムといった天然で産出される鉱物として回収可能であるとともに,処理後の廃水中の各元素濃度を水質汚濁防止法により規定されている排水基準値以下に低減し,無害化できることを明らかにした.
4.部分安定化ジルコニア焼結体の水熱解砕と再利用の可能性
部分安定化ジルコニア焼結体が示す"低温劣化現象"を逆手に利用して,水熱処理をすることにより高強度を誇る部分安定化ジルコニア焼結体構造材料からの骨材回収を検討した.その結果,水熱処理により安定化材として添加されているイットリウムを溶出させることなく,骨材を回収できることを明らかにした.さらにこの回収骨材を用いて再度焼結体の作製を行ったところ,多少の前処理条件は必要なものの新品と同等の性能の焼結体が作製できることを明らかにした.

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2007 2006

すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Recycling Process for Yttria-Stabilized Tetragonal Zirconia Ceramics Using A Hydrothermal Treatment2007

    • 著者名/発表者名
      KAMIYA, M., MORI, Y., KOJIMA, T., SASAI, R., ITOH, H.
    • 雑誌名

      Journal of Material Cycles and Waste Management 9

      ページ: 27-33

  • [雑誌論文] 使用済み電子写真用トナーキャリアの水熱処理による再生2007

    • 著者名/発表者名
      笹井 亮, 斉藤 剛, 林 紘正, 陌間元晴, 岸本惣一郎, 伊藤秀章
    • 雑誌名

      Journal of Ceramics Society of Japan 115

      ページ: 222-226

  • [雑誌論文] 亜臨界水熱処理による超硬合金からのWO_3の回収2006

    • 著者名/発表者名
      笹井 亮, 稲垣文人, 高 寧峰, 伊藤秀章
    • 雑誌名

      Journal of The Society of Materials Science Japan 55

      ページ: 254-257

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 査読あり
  • [雑誌論文] Arsenic Recovery from Water Containing Arsenite Ions by Hydrothermal Mineralization2006

    • 著者名/発表者名
      ITAKURA, T., SASAI, R., ITOH, H.
    • 雑誌名

      Chemistry Letters 35

      ページ: 2-3

  • [雑誌論文] Novel Recovery Method for Treating Wastewater Containing Fluoride and Fluoroboric Acid2006

    • 著者名/発表者名
      ITKURA, T., SASAI, R., ITOH, H.
    • 雑誌名

      Bulletin of the Chemical Society of Japan 79

      ページ: 1303-1307

  • [雑誌論文] Lead Recovery from PBZrO_3 Using Wet Ball-Mill Technique and Hydrothermal Synthesis of α-Zirconium Phosphate from Wastewater for Resource Recovery2006

    • 著者名/発表者名
      KAMIYA, M., SASAI, R., ITOH, H.
    • 雑誌名

      Journal of Hazardous Materials 134

      ページ: 67-73

  • [雑誌論文] Resource recovery from Nd-Fe-B sintered magnet by hydrothermal treatment2006

    • 著者名/発表者名
      ITAKURA, R., SASAI, R., ITOH, H.
    • 雑誌名

      Journal of Alloys and Compounds 408-412

      ページ: 1382-1385

  • [雑誌論文] セラミックスのニュープロセスとナノテクノロジー4.セラミックスの再生技術2006

    • 著者名/発表者名
      笹井 亮, 伊藤秀章
    • 雑誌名

      材料 55・12

      ページ: 1146-1150

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公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

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