研究概要 |
平成19年度は,平成18年度に行った研究の完遂に加え,以下に示す項目に関して研究を進め成果を得た. 1.水熱鉱化法による有害無機オキソ酸陰イオンを含む廃水の無害化及び資源回収 有害無機オキソ酸陰イオンとして,リン・セレン・テルル・クロム・モリブデン・タングステンを対象として,鉱化剤(カルシウム系やバリウム系)とともに水熱処理を行うことにより,リンは価数によらずリン酸カルシウムとして,セレン・テルルは現行では困難な6価のセレンやテルルをバリウム塩として,重金属オキソ酸についてはカルシウム塩として回収が可能であることを明らかとした.しかしながら,一部の元素についてはバッチ処理では排水規制値を下回ることはできなかった. 2.水熱条件下での固液分離の実現と完全無害化 水熱条件下で固液分離できる装置を用いて,上記の有害無機オキソ酸陰イオン含有排水に対して処理を行ったところ,すべての元素に対して規定されている排水規制値を下回ることに成功した.このことは,水熱条件下では鉱化剤との反応により生成された鉱物が非常に低い溶解度を有しているためであることを示唆するものである.また,この結果は,水熱条件下での固液分離を連続的に行うことで,水熱鉱化排水処理法を流通で行うことができることを示すものであり,実際の排水処理で必要な大量な廃水の処理が実現可能であることを示している.
|