研究課題/領域番号 |
18201021
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
齋藤 直人 信州大学, 医学部, 教授 (80283258)
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研究分担者 |
遠藤 守信 信州大学, 工学部, 教授 (10021015)
樽田 誠一 信州大学, 工学部, 助教授 (00217209)
加藤 博之 信州大学, 医学部, 教授 (40204490)
堀内 博志 信州大学, 医学部附属病院, 講師 (80377639)
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キーワード | カーボン / セラミックス / 複合体 / 生体材料 / 人工関節 |
研究概要 |
1.多層カーボンナノチューブ(MWCNT)とアルミナセラミックスの複合を行い、試料を作成した。複合の際にはMWCNTの均一分散が重要であり、様々な工夫により1vol%複合まで達成した。試料を用いて機械的試験を行ったところ強度向上の傾向が認められた。さらに複合方法を改良して、複合率を増加する予定である。また、MWCNTとジルコニア強化アルミナセラミックスの複合を行い、試料を作成した。 2.MWCNTを実験動物の頭蓋骨骨膜下に埋め込み、組織反応性を検討した。MWCNTは強い炎症反応や異物反応を惹起せず、皮質骨を侵食しなかった。よって、MWCNTは骨組織親和性が良く、人工関節用生体材料として適していると考えられた。また、実験動物の脛骨に骨孔を作製し、MWCNTを埋め込み、骨修復に及ぼす影響を検討した。MWCNTは骨修復を阻害せず、修復された骨組織に取り込まれた。FE-SEM像の観察ではMWCNTは骨基質と直接接触しており、やはり高い骨組織親和性を示した。骨形成タンパクによる異所性骨形成実験において、担体として用いるコラーゲンにMWCNTを複合させると、骨形成が促進される可能性が示唆された。 3.生体外培養系で、MWCNTを骨芽細胞や破骨細胞に作用させ、細胞の分化、増殖、サイトカイン産生などへの影響を検討した。MWCNTは、破骨細胞の増殖を抑え、骨吸収を低下させる可能性が認められた。 4.MWCNTを表皮ブドウ球菌に作用させた。細菌量測定やDNA測定を行った結果、MWCNTは細菌の増殖を抑える働きがある可能性が示唆された。MWCNTに抗菌性があれば、人工関節材料として用いる場合に、きわめて有効な特性である。
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