1.量子ドット蛍光材料の調製 低毒性の量子ドットの合成を目指し、蛍光を発するZnS-AglnS_2系量子ドットの合成法を開発した。そして、合成法を改良することにより、蛍光の量子収率を向上させる因子を見つけることに成功し、現在、量子効率を約60%にまで向上させることができている。これは、充分に実用的な蛍光試薬であると言える。 2.量子ドットとレドックス種間の電子移動反応 量子ドットを分散させた溶液にレドックス活性を有する金属錯体、キノン類、生体分子などを溶解させることで、電子移動による蛍光クエンチが起こることを見出し、レドックス種の酸化還元電位、伝導帯下端と価電子帯上端の電位の関数として数式化することができた。特に、マーカス理論の逆転領域の出現を示唆する結果を得た。 3.量子ドットによるバイオ分子の電気化学測定 酸化還元酵素と量子ドットを溶解し、酵素の活性中心と量子ドットの電子移動の有無を蛍光強度の低下または増大により評価する。この原理を基に、反応基質の添加におる蛍光強度の低下に関する情報を得、オプティカルバイオセンサーの構築を行った。
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