研究課題
本研究では、量子ナノ構造においてサブピコ秒の時間スケールで高速に運動する電子が放出・吸収するTHz電磁波を検出・解析することにより、電子の実時間領域における運動に関する情報を得ることを目的としている。平成18年度には、以下の3点について研究を遂行した。1、量子構造の構造パラメータとテラヘルツ利得スペクトルの関係の解明超格子構造におけるプロッホ振動の減衰に界面ラフネスが大きく関与していることを示した。また、電流注入型プロッホ発振器を実現するための量子構造の構造パラメータと、素子の駆動手法についての理論的な検討を行った。その結果、電流注入型素子においても、素子に印加する直流電場に大振幅の交流電場を重畳することによって、実効的に高電界ドメインの発生が抑制され、THz利得を実現できることを見出した。2、単一分子接合作製の最適化とテラヘルツ予備実験の開始単一分子をチャネルとする分子接合素子を再現性よく実現するためのプロセスの最適化を図った。通電断線法を用いて、分子接合素子作製のための精密な極微細ギャップ電極の作製手法を確立した。この過程で、印加電圧と断線過程の関係についての新知見を得た。また、マイクロマシーニング技術を応用して可動ギャップを有する極微電極構造を作製し、この構造を用いた分子接合の作製について検討を行った。3、単一InAs量子ドットトランジスタにおける電気伝導特性の解明単一のInAs量子ドットの上から、金属や強磁性体、超伝導体で作製した極微細ギャップ電極を形成し、電子スピンや超伝導クーパー対に依存した新奇な電気伝導現象を観測した。また、電子線リソグラフィーと重ね描画技術を応用することで、これまで1%程度であった試料作製の歩留まりを20-30%まで向上させることに成功した。最後に、これらの試料に対するTHz分光を可能にするための測定手法(自己相関測定法)の検討を行った。
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