研究課題/領域番号 |
18201028
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
塚越 一仁 独立行政法人理化学研究所, 河野低温物理研究室, 客員主管研究員 (50322665)
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研究分担者 |
神田 晶申 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 講師 (30281637)
沖仲 元毅 研究技術開発, 支援チーム, 開発研究員 (80391902)
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キーワード | コヒーレント / 伝導 / ナノ薄膜 / 微細加工 / 層状物質 / ゲート電界 |
研究概要 |
ナノスケール層状物質を単層あるいは数層の薄膜に剥離して電極を作製することで、移動度の高い低次元伝導システムとなる。この高い移動度を有する系では電気伝導がコヒーレントであることが期待される。これを実証するために、炭素系層状物質であるグラファイトを剥離して単層あるいは少数層の炭素超薄膜伝導システムの構築を試みた。SiO_2基板上にグラファイトを押しつけて薄膜を剥ぎ取り、光学顕微鏡観察によって特に薄い膜を選び出し、微細加工によって電極を作製した。このような薄いフィルムでの電気伝導を変調するためには、SiO_2の裏面のドープSi基板に電圧を印加して"バックゲート"変調を行うのがこれまでの一般的な手法であったが、我々はAl薄膜を炭素超薄膜に直接形成して自然酸化によってセルフアライメント的に相互の界面に酸化膜が形成されることを見出し、Al膜に電圧を印加することで極めて効率的なゲート電極を作製できることを発見した。このAl高効率ゲートと従来型のSiO_2/ドープSi基板ゲートのそれぞれに電圧を印加して、炭素超薄膜の伝導を電気的に詳細に調整することができた。これによって炭素超薄膜の層間方向の電場遮蔽長を直接的に調べることに成功した。この実験結果から遮蔽長は1.2nmと推定され、わずか2-3層によって電場が遮蔽されることがわかった。この結果を基に、今後は2-3層の炭素超薄膜の素子を作製し、電気伝導のコヒーレンス性を伝導のゲート電圧変調として検出していくことを目指している。
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