研究概要 |
東アジアには多数の活火山が分布する.毎年そのいくつかは噴火し,場合によっては大きな災害を引き起こす.しかしながら,これらの火山を常時観測システムは一部を除き皆無に近い状態にある.このような背景から,東アジアにおける噴火監視と防災の基礎となる噴火データ収集を行うために,「複数の衛星を利用した準リアルタイム東アジア火山観測システム」の構築を目指している.これまでに,「MODISデータ処理システム」および「MTSATデータ処理システム」を立ち上げることができた.とくにMTSATに関しては,独自に受信設備を設置・運用することでリアルタイム性の高いシステムを構築することができた.これらのデータの解析結果に関しては,Webサイト(http://vrsserv.eri.u-tokyo.ac.jp/REALVOLC)を通じて広く公開している.一方,処理済みのデータに関しては,「データアーカイブシステム」を構築し,必要なデータを自由に引き出すことができるようにした.さらに,エネルギーコーンモデルを利用した「シミュレーションツール(火砕流到達域推定ルーチン)」をWeb上に構築し,現地の火山研究者・防災担当者が必要に応じて,危険地域を即時に作図できる仕組みを組込んだ.噴火予測を的確に行うためには,各火山の地質状況や活動史に関する情報が必要となる.このため主要活火山について,既存のデータと高分解能衛星画像の解析結果に基づく地質・噴火に関するデータベース(「東アジア火山データベース」)の作成に着手した.
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