研究課題
レーダーによって観測される降水粒子の実態を明らかにするために、沖縄本島における情報通信研究機構(NICT)沖縄亜熱帯計測技術センターのマルチパラメータレーダ観測、および同地点における特殊ゾンデを用いた雲粒子観測を実施した。これにより降水雲中の降水粒子および雲粒子、氷晶粒子のタイプおよび数濃度の情報を得ることができた。現在このデータの詳細な解析を進めている。台湾大学および米国の研究者と協力し、台湾南部に名古屋大学のドップラーレーダーシステムを輸送し、2008年5月〜7月にかけて、東アジア域の暖候期に発生する豪雨システムの観測を行った。これにより台湾南部で発生する豪雨システムについてのレーダーや地上観測のデータを得ることができた。また、台湾の研究者と観測データの交換、および名古屋大学で開発している雲解像モデルの提供など、本研究課題の目的の一つである国際協力を活発に進めることができた。上記の沖縄および台湾における観測期間中、雲解像モデルを用いた予報実験を実施し、観測プロジェクトを支援するとともに、シミュレーションのデータの蓄積を行った。このデータを解析し亜熱帯域の雲の特性パラメータを明らかにした。昨年度、沖縄県宮古島・多良間島域で観測された台風0712号についての観測データの解析を行い、台風周辺に発達した降雨帯の詳細な構造を明らかにした。また、同様に観測された台風0715号についても解析を進めている。観測された台風について雲解像モデルを用いて、超高解像度のシミュレーションを行い、観測結果と比較しつつ、その発達メカニズムや構造を明らかにした。また、レーダーデータの雲解像モデルへのデータ同化法を開発し、雲解像モデルを用いた高精度量的予測に向けた開発を行った。
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