本年度は、1、必須遺伝子欠失導入用ベクター開発、2、、アーカイブクローンから必須遺伝子解析ベクターへの遺伝子断片の組み換え、3、必須遺伝子の供給下でのWanner法による遺伝子欠失の導入、4、必須遺伝子欠失株における生育に関するIPTG濃度依存性の解析、5、ORFクローンのGateway化およびGateway entryライブラリーの構築、6、特定の配列を付加したバーコード方式の欠失株ライブラリー作製、7、接合による遺伝子欠失の移動の系の開発、そして8、合成致死遺伝子同定システムの自動化を目標に研究開発を進めてきた。上記目標を一通りすべて当初の目標とおり達成することができ、特に開発項目の6、においては、特定の配列を付加(bar code)のみならず、対象とする遺伝子の開始コドンにGFPを融合するように設計を変更し、対象遺伝子の細胞内の発現を、本来のプロモーターおよび翻訳シグナルを用いた、しかも単一細胞で測定可能にすることができた。これにより、今後はsingle cell levelで、しかもin vivoにおいて発現解析が可能になった。本欠失株は本年度に一通りの候補株取得を終了し、あとはbar codeの読み取りを含めた、ゲノム構造の確認作業を残すのみとなっている。さらに、既存の欠失株と新規の欠失株を接合を用いて欠失の2重化も効率よく行うことが可能となった。この成果により、ロバスト性、代謝経路の冗長性など、細胞内ネットワーク解明に大きな一歩を踏み出すことができたと言える。
|