研究課題
私たちは、翻訳過程に必須な因子のみ構成された試験管内遺伝子発現系PURE systemを再構築し、蛋白質の誕生プロセスを無細胞化した。このシステムの発展型として蛋白質成熟プロセスに関与する因子群をPURE systemに共存させた複合型無細胞システムを開発し、蛋白質の成熟過程のメカニズム解明することを本研究の目標としている。まず、PURE systemによって大腸菌ゲノム上の全蛋白質(4132個)の合成を行い、各蛋白質の凝集特性を遠心分離により可溶性を評価した。PURE systemにより合成可能また電気泳動可能であった7割についての評価したところ、凝集しやすさは二峰性を示すことが示された。分子量が小さい蛋白質、等電点が低い蛋白質は可溶性が高いことが示された。立体構造と凝集特性の相関を解析したところ、SCOPデータベースのfoldの階層で、相関が認められた。例えば、c94というfoldでは8割以上が凝集するが、c47のfoldでは7割以上が可溶性であった。また、細胞質の凝集傾向のある蛋白質792個について、シャペロン存在下のPURE systemで合成を行い、その可溶性の向上から、シャペロン依存性を評価した。Trigger factorは単独での凝集抑制効果は低いこと、GroEL/ESは分子量20-50kDaに対して効果があること、DnaK/DnaJ/GrpEでは高分子のものに効果があることが示された。また塩基性蛋白質には、DnaK/DnaJ/GrpEが効果のあることが示された。この結果は、ポリペプチド固有の特性を初めてゲノムワイドに明らかにしたものである。また以上の解析結果をe-Solデータベースとして公開した(http://tp-esol.genes.nig.ac.jp/)。
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