研究概要 |
脳腫瘍は頭蓋骨の内部に発生する腫瘍で、一般的に悪性脳腫瘍の治療は容易ではない。その最も大きな理由は、脳という重要な組織に発生しているために、腫瘍が正常脳の中に浸潤した部分を外科手術によって広く切除できないことによる。さらに体内において脳は重要な組織であるが故に、血液中の有害な異物が正常脳へ入らないように血液脳関門があり、その関門のために化学療法薬が脳の中へ移行しづらい。そこで本研究において我々は、血液脳関門に発現しているABCトランスポーター(ABCB1, ABCG2 等)の基質にならず、効率的に脳移行する新規脳腫瘍治療薬の分子デザインを実施している。さらに、これらトランスポーターを阻害するトポイソメラーゼI 阻害薬およびプロテインキナーゼ阻害薬をデザインし、既存の制癌剤が脳腫瘍に到達できるようにする方法論を確立している。
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