研究課題
最新の分子生物学的知見に基づいたスクリーニング法を用いて、副作用が少ない新しい抗がん剤シーズとして期待出来るがん細胞特異的な因子に選択的に作用する活性天然物を、海綿類を中心とする海洋生物の抽出エキスや海洋微生物の培養物ライブラリーから探索した。発見した活性物質のin vivoでの抗腫瘍作用の評価と詳細な作用メカニズムを解析するとともに、有望な微量活性物質については、全合成による供給を検討した。また、モデル化合物合成による構造活性相関の解析、より簡便に合成できる活性類縁体の合成等の合成化学的な検討を加え、新たな分子標的抗がん剤としての展開をはかった。本年度は、以下の成果を得ている。1)新たなin vivoでの血管新生阻害作用を有する活性物質として、海底土壌から分離した真菌からpyripyropene類を、また生薬セネガからsenegasaponin類を見出し、詳細な活性評価と作用メカニズムの解析を行なった。2)海綿から血管新生阻害活性物質として見出した新規ステロイドアルカロイドcodistatin Aについて、短工程で合成可能なアナログ化合物の合成研究を行い、血管内皮細胞選択的に増殖抑制作用を示す化合物を見いだした。3)Scratchアッセイを用いて、毒性を示さずにがん細胞の転移を抑制する活性物質の探索を行い、活性物質として新規環状ペプチドを見いだすとともにそのメカニズムを解析した。4)低酸素環境下で選択的にがん細胞の増殖を抑制する物質を探索する活性試験法を用いて、海綿や海洋微生物の培養物エキスをスクリーニングし、インドネシア産海綿より活性物質furospinosulin-1を見いだすとともに、in vivoで抗腫瘍活性を示すことを明らかにした。また、数種の類縁体を合成して構造活性相関を解析した。
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