研究分担者 |
鎌田 繁 東京大学, 東洋文化研究所, 教授 (70152840)
酒井 啓子 東京外国語大学, 大学院・地域文化研究科, 教授 (40401442)
富田 健次 同志社大学, 神学部, 教授 (80249680)
保坂 修司 近畿大学, 国際人文科学研究所, 教授 (80421220)
飯塚 正人 東京外国語大学, アジアアフリカ言語文化研究所, 准教授 (90242073)
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研究概要 |
2007年度は,前年度に提出された問題意識を研究分担者・研究協力者が意識しながら,自分の専門分野における研究課題をさらに深く追究することが,研究活動の中心となった。その一方で,2回の研究会と国際シンポジウムを開催して最新の研究動向について意見交換をする機会も設けた。5月の研究会ではイラン政治に影響をおよぼすシーア派法学思想について考察を深め,6月の研究会ではイエメンとインドを中心とする環インド洋のネットワークの歴史と現代政治における宗派性について意見交換をした。 7月の国際シンポジウムでは,アメリカからファン・コール教授,UAEからファーティマ・アル=サーイク教授,レバノンからヒラール・ハーシャーン教授を招聘し,湾岸諸国やレバノンにおけるシーア派をめぐる社会的・政治的状況について報告を聴き,シーア派意識の構築について,さらにナショナルな枠を超えた国際的なシーア派の連関についても批判的・肯定的,両方の立場から議論をした。これらの会合を通して「シーア派」意識を表面化させるコンテクストは一様でないこと,複雑に絡み合った複数のファクターによって国境の内側での集団再編成や国境を越えたネットワーク形成が可能になっていることを明らかにすることができた。 8月以降は,国の内外で各々が関係しているディシプリンや諸プロジェクトの会合・シンポジウムなどで発表したり議論をしたりすることで研究の精度を高め,さらに必要な資料を収集・分析する作業にも勤しんだ。その成果は近い将来に公刊する予定である。平成19年度に当研究の研究分担者・協力者が渡航した国は合計10ケ国におよんだ。また詳述は避けるが,高校や生涯教育の場で合計20件以上の啓蒙的な活動に努めたことも付記しておく。
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