研究課題/領域番号 |
18202004
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
大橋 一章 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (80120905)
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研究分担者 |
肥田 路美 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (00318718)
光谷 拓実 (独)文化財研究所, 奈良文化財研究所, 室長 (90099961)
宇田 応之 早稲田大学, 理工学術院, 名誉教授 (80087486)
李 成市 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (30242374)
片岡 直樹 新潟産業大学, 助教授 (80277780)
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キーワード | 仏教美術 / 樹種 / 材質分析 / X線分析 / 年輪年代 |
研究概要 |
本年度は研究の初年度にあたる。研究計画どおり、クスノキに代表される特定樹種木材の流通と仏教美術伝播・受容の問題の解明に取り組むと同時に、来年度以降の海外諸機関との共同研究、調査の準備を整えた。 まず、韓国・国立昌原文化財研究所を訪れ、慶尚南道昌寧郡・松峴洞7号墳(5世紀末〜6世紀初頭)より出土したクスノキ製木棺を調査し、今後の共同調査・研究について話し合った。現地ではクスノキ木棺に伴って出土した金属製品を携帯型複合X線分析装置にて調査した。なお、この解析結果は『金属』第1041号誌上に発表した。これら韓国における成果報告としては、9月に韓国より3名のパネリストを招き、国際シンポジウム「文化財の解析と保存への新しいアプローチ」を開催し、今後の共同研究の必要性を訴えた。この国際シンポジウムの成果は年度末に『奈良美術研究』第5号誌上に発表した。 また、購入した携帯型複合X線分析装置による文化財の分析実験を大学内で行い、その成果を中国・北京における第2回X線考古学会にて発表した。 さらに、四川省におけるクスノキ製木棺およびクスノキの自生状況を調査した。韓国・昌寧出土のクスノキ木棺とは時代差があるものの、文献史料によれば中国南部あるいは西南部のものと考えられるクスノキを代表とする特定樹種木材が古代より東アジア地域において流通していたことが知られ、クスノキを用材として用いる文化圏として中国・四川地域は見逃すことができないからである。また、成都市博物院と共同調査・研究に向けての話し合いも行った。
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