本研究「江戸幕府・朝廷・諸藩の編年史・編纂史料集の史料学的研究」は、近世及び近代に編纂された編年史及び編纂史料集を網羅的に蒐集し、そのうち重要なものについては史料学的に研究し、その史料の位置づけを確定させることを目的とする。近世及び近代に成立した編年史及び編年史料集の史料学的研究は、現在、東京大学史料編纂所において進められている「近世編年データベース」の基礎になるとともに、当該データベースをより正確なものとし、さらに活用するために不可欠なものである。「近世編年データベース」は、幕府、朝廷、幕藩関係、朝幕関係、幕府外交、幕府財政、都市政策などを主要な柱とし、さまざまな史料から史実を抽出してデータベース化をはかることを目的としているが、当面は、近世・近代に編纂された編年史料集のデータベース化が中心になっている。こうした作業を進めていく上で重要なことは、史料のデータベース化とともに、素材となる史料集自体の史料学的研究が不可欠となること、さらにより多くの編年史・編年史料集を蒐集する必要があることである。こうした作業を通して、「近世編年データベース」はより網羅的かつ信頼性の高いものとなる。また、個々に作成したデータベースを統合することによって、近世の政治構造と諸政策を総合的に分析することができるようになる。
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