研究課題
平成20年度の研究業績は以下のとおりである。1) 研究打ち合わせを兼ねた研究会を合計8回開き、范金民(南京大学歴史系教授)「把持と応差-巴県档案から見た清代重慶の商貿訴訟」の研究報告のほか、『巴県档案』の中から担当者が最も関心を持つテーマの案件を選び、会読した。会読担当者は、夫馬進、伍躍、寺田浩明、谷井陽子、范金民、水越知、田辺章秀であった。このようなそれぞれの専門分野に即した研究と会読をもとに、相互討論を重ねることによって各人の相互認識を高めた。またこれによって、四川省巴県という地がまさしく訴訟社会と言うべき状況にあったこと、このような訴訟が多発した原因としてそこが移住民社会であったことが明かとなり、さらに同治期と比較するため、乾隆期や嘉慶期の訴訟状況を調査する必要があるとの認識にまで至った。2) 『巴県档案(同治期)』マイクロフィルムを焼き付け、会読のためのテキストとするとともに、同じく『巴県档案(道光期)』を比較の対象とするため、中国四川省档案館(成都)に赴き、特に道光年間の知県劉衡が関わった案件史料を収集した。劉衡が関与した訴訟・裁判案件を同治年間のそれと比較したとき、上控案件や翻控案件がほとんどなく、これは自らが書き残した官箴書と見事に一致することを確認した。3) 南京大学范金民教授を招聘し、合計3回にわたって草書の読解訓練会を開いた。これには、京都大学文学研究科・法学研究科の大学院生を中心に20名以上が毎回参加した。4) 北京大学図書館(中国)等に赴き、史料調査・収集を行った。
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東アジアにおける公益思想の変容-近世から近代へ-
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