研究課題
本研究の課題は、ブリテン諸島(British Isles)地域の歴史をヨーロッパおよび大西洋の関係のなかでとらえなおし、古代から21世紀初めまでの期間について、自然環境から民族、宗教、そして秩序のなりたちまで含めて大きく考察し、そこに政治社会をなした人々のアイデンティティがいかに複合的で、歴史的に変化したかという点に注目することによって、旧来のホウィグ史観的なイングランド中心主義を一新した、総合的なブリテン諸島通史を構築しなおすことにある。旧来のイギリス・英国・イングランド・ブリテン・諸島などの概念の区別と連関について批判的に取りくもうとする研究は1970年代から英米で蓄積されており、これらに総合的なサーヴェイを加え、とりわけ「修正主義」の方法と成果について慎重に吟味した。物品費と国内旅費を充てて、関連する刊行史料・研究文献・ディジタルアーカイヴの点検と批判的分析をすすめ、セミナーおよび合宿研究会をくりかえした。国際交流・発信にも積極的に取りくんだ。海外旅費は研究メンバーの連合王国・ヨーロッパ・北米・アジアにおける国際会議への参加および調査研究旅行のために支出された。史料調査はもとより、専門家との学術情報および意見の交換は首尾よく進展し、学会における発表、専門誌への寄稿などについても成果が連続した。上の合宿研究会の主要な目的は、ブリテン諸島の歴史を総合的に再構築する共著を公刊するための討議であり、これをふまえて研究メンバー全員で、近藤(編)『イギリス史研究入門』(山川出版社)の執筆に専念し、共著は2010年に公刊する予定である。
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ヨーロッパ宗教改革の連携と断絶(教文館)
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近代イギリスと公共圏(昭和堂)
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http://www.l.u-tokyo.ac.ip/~kondo/