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2008 年度 自己評価報告書

モンゴル帝国興亡史の解明を目指した環境考古学的研究

研究課題

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研究課題/領域番号 18202024
研究種目

基盤研究(A)

配分区分補助金
応募区分一般
研究分野 考古学
研究機関新潟大学

研究代表者

白石 典之  新潟大学, 超域研究機構, 教授 (40262422)

研究期間 (年度) 2006 – 2009
キーワードモンゴル
研究概要

北方ユーラシア諸民族の動静は、世界の歴史を動かした原動力の一つと言っても過言ではない。その理由には、この地に誕生した王権が中国歴代王朝と和戦両面でかかわりを持ち、その興亡に大きな影響を与えたことと、洋の東西を結ぶルートの中央に位置し、相互交流に大きな影響を与えたことがあげられる。
そのなかでもモンゴル帝国(西暦1206-1388年)の成立は、当時のユーラシア全体に大きなインパクトを与えた。強大な軍事力で瞬く間に巨大な版図を築いたその国には残虐・殺戮といったマイナスイメージがつきまとうが、それは一面だけからの理解である。既存の宗教を認め、民族融和にも努めるなどプラスの面も多々ある。ユーラシアを一体化したことは、のちの大航海時代のプロローグと、またはグルーバル化の先駆けとしても評価されている。
モンゴル帝国は上記のように史上名高いが、肝心の王権成立の背景と、その舞台となったモンゴル高原の当時のようすは不明である。とくに初代君主チンギスカン(1162-1227年)についての事績は、まったくといって良いほど不詳である。その原因は、伝説的な内容の史料が多く、同時にペルシャや中国といった外部で書かれた二次的評価の入ったものが利用されてきたという文字中心の研究にあるといえる。その結果、彼に対し「カリスマ」「凶悪な統治者」といった実証的でない解釈が流布することになった。ひいては実際とは異なる時代像が形成され、当該研究の停滞の原因となっている。
このような文字資料に基づく研究の限界性を克服するために、本研究では物質資料に基づいて検討を行う。それはつまり考古学的手法によるアプローチである。
本研究における着眼点はつぎのようである。その時代は中世温暖期が終り環境悪化が始まったとされる。しかも、もともと資源が乏しいモンゴル高原で、どうして強力な王権が誕生したのか。その興亡のメカニズムを、植物考古学や動物考古学、理化学的分析を駆使した環境考古学的アプローチで解明しようというものである。
しかしながら、モンゴル遊牧王朝興亡史を自然環境変動によって解明しようという研究は以前にもあった。ただ、これらは環境(気候)が良くなれば王朝が勃興し、悪くなれば衰亡するという、表層的理解、いわば環境決定論的なものであった。
本研究とそれとは明らかに違う。そこで目指すものは単なる環境決定論ではなく、人間と自然系とのかかわり、相互作用からこの問題を捉えようとしている。このような人間活動というところに力点を置いている点に、本研究の独創性がある。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2009 2008 2007 2006

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (4件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] モンゴル国フンフレー遺跡群の調査とその意義2009

    • 著者名/発表者名
      白石典之、相馬秀廣、加藤雄三、A. エンフトル
    • 雑誌名

      国立民族学博物館研究報告 33巻4号

      ページ: 1-40

    • 査読あり
  • [雑誌論文] ヘルレン河流域における遼(契丹)時代の城郭遺跡2008

    • 著者名/発表者名
      白石典之
    • 雑誌名

      遼金西夏研究の現在 1

      ページ: 1-21

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 和林興元閣新考2007

    • 著者名/発表者名
      白石典之、D. ツェヴェーンドルジ
    • 雑誌名

      資料学研究 4号

      ページ: 1-14

    • 査読あり
  • [学会発表] 在蒙古国的遼代遺址研究的現状(中国語)2008

    • 著者名/発表者名
      白石典之
    • 学会等名
      遼夏金元歴史文献国際研討会
    • 発表場所
      北京・中央民族大学
    • 年月日
      2008-11-03
  • [学会発表] モンゴル国の鉄器生産-アウラガ遺跡の調査成果を中心として-2008

    • 著者名/発表者名
      村上恭通、笹田朋孝
    • 学会等名
      日本考古学協会2008年度総会
    • 発表場所
      神奈川・東海大学
    • 年月日
      2008-05-25
  • [学会発表] モンゴル国アウラガ遺跡の植物遺存体2007

    • 著者名/発表者名
      仙波靖子、小畑弘己
    • 学会等名
      第4回九州古代種子研究会
    • 発表場所
      宮崎・椎葉民俗芸能博物館
    • 年月日
      2007-09-23
  • [学会発表] アウラガ遺跡の調査(モンゴル語)2006

    • 著者名/発表者名
      B. ツォグトバータル、白石典之
    • 学会等名
      第9回国際モンゴル学者会議
    • 発表場所
      モンゴル国立大学
    • 年月日
      2006-08-12
  • [図書] オアシス地域史論叢2007

    • 著者名/発表者名
      白石典之
    • 総ページ数
      123-148
    • 出版者
      松香堂
  • [図書] Beyond the Legacy of Genghis Khan2006

    • 著者名/発表者名
      Shiraishi, N
    • 総ページ数
      83-93
    • 出版者
      Brill

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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