研究課題
昨年度に引き続き、考古資料の三次元計測データの蓄積と、そのデータの活用方法についての研究を進めた。そのなかで日本文化財料学会のポスターセッションにおいて、昨年度より進めていた『デジタル図録』の橿原考古学研究所附属博物館での運用と、デジタルデータの一般への活用の方向性と、展示形態についての発表を行う。資料のデジタル化については、宗像大社所蔵の沖ノ島祭祀遺跡出土銅鏡の調査を、予備調査を含めて5回実施し、三次元計測とともに銅鏡の観察を行い、鏡片の接合、破片の整理を進め、さらに大判写真撮影により資料化をすすめた。また、東京国立博物館等において、新沢千塚109号墳、江田船山古墳などの画文帯同向式神獣鏡の「同型鏡」の観察を行い、笵傷の記録と各部の観察とともに、三次元計測データを利用した鏡径の収縮に注目し、研磨されない圏線をもちいた分析を行った。その結果、鏡径収縮の対応から大小のグループと、共有される笵傷のあり方から2グループを確認し、この両者の対応関係から、原鏡の異なる鏡群の存在を想定し、その成果の研究発表の準備を進めている。これと並行して、各三次元計測器の誤差とデータの可視化ソフトの影響を確認することで研究の基礎を固めており、これも研究発表の準備を進めている。これ以外にも、神戸市の塩田東北山古墳の三角縁神獣鏡、伝桜井茶臼山古墳銅鏡片、奈良市平城京出土銅鏡片、橿原市萩ノ本遺跡出土和鏡、シルクロードのレリーフの計測など多様な考古資料の計測を行い、可視化方法の検討を行った。
すべて 2007
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)
ミュージアム 609
ページ: 21-62
橿原考古学研究所紀要『考古学論攷』 30
ページ: 107-116