研究概要 |
本研究では, 日本におけるエスニック地理学の構築を目指して, エスニック集団に関する理論的研究および実証的研究をおこなうことを目的としている。このため,エスニック地理学の理論的研究を進めながら, 日本および海外においてインテンシブなフィールドワークを実施し, 実証的研究を蓄積しながら, エスニック地理学の理論的発展を目指す。 具体的な研究目的としては, 以下の4点にまとめることができる。 (1) エスニック地理学の研究視点, 概念, 研究方法の明確化 日本および海外におけるエスニック地理学の研究成果および研究動向を整理し, エスニック地理学の研究視点や概念, 研究方法について検討する。特に, アメリカ・カナダ・イギリス・オーストラリア・ドイツ・オランダなどの先進地域におけるエスニック地理学の研究動向の分析に重点をおく。 (2) エスニック集団のホスト社会への適応パターンの解明 各々の地域においてさまざまなエスニック集団のホスト社会へ適応パターンについて検討していくと, 多くの地域において類似したパターンが見出せると同時に, 当該地域あるいは当該エスニック集団に特徴的な適応パターンが見出せるであろう。このようなホスト社会への適応パターンの普遍性と地域性を明らかにすることにより, 理論化, モデル化を目指す。 (3) エスニックタウンの形成過程・景観・機能の究明 チャイナタウン・ジャパンタウン・コリアタウンをはじめ世界各地には, 特定のエスニック集団によって形成されたエスニックタウンがみられる。本研究では, 世界各地および日本国内のエスニックタウンを比較検討することにより, エスニックタウンの形成過程・景観・機能に関する一般化, 類型化を試みる。 (4) グローバルな視点からの日本国内のエスニック集団の特色・位置付けの明確化 本研究では, 海外の事例研究の成果にもとづいて, 日本国内の韓国・朝鮮人, 中国人(華人), ブラジル人などのエスニック集団の居住パターン・経済活動・伝統文化の維持などについての特色を明らかにするとともに, グローバルな視点からの日本のエスニック集団の位置付けについて考察する。
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