研究概要 |
経済理論から完全な計量モデルが主張されることは普通なく、多くの場合その推定、検定のための計量経済モデルは何らかのモ-メント条件で表現されることがほとんである。例えば計量経済学における最も標準的な道具立てである回帰分析、同時方程式、測定誤差の問題をはじめ様々な局面で現れる操作変数推定もモ-メント条件で表される。その他、条件つきメディアン回帰、多項選択モデルなど、モ-メント条件や条件付モ-メント条件で表される状況は非常に多く、むしろほとんどの場合がそうであると言ってもよいであろう。そのため、対象や目的は異なっても、モ-メント条件で表現されるモデルを推定、あるいは検定する手法は、おそらく最も有効で重要なものである。 本研究はそれに関して、1.モ-メント条件の中にノンパラメトリック関数が含まれることを許すモデルのGMM,EL 推定、検定法を開発する、2.それらの推定量の高次漸近理論を調べる、3.それらの手法を時系列、パネルへ拡張する、4.それらの手法を用いた実証分析を行う、という4点をめざすものである。
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