研究概要 |
1.自治体知財政策の分析 (1)地方公共団体における流通チャネル整備等、地域団体登録商品を活用した地域ブランド戦略等についての事例調査を行うとともに、商品の生産・流通に関する実態データを収集・分析した。この結果、例えば東京中央卸売市場における和牛取扱量(2006年度)は、地域団体商標登録県では重量、金額とも12%増を示したが、その他都道府県では、重量2.5%増、価格1.8%増に留まっている。 (2)都道府県における植物新品種の開発及び育成県提供施策の実態データを収集分析した。 2.地方都市における高密度集積による地場産業振興効果の分析 再開発事業等によって高度集積が図られた場合の地場産業集積効果について事例収集するとともに、効果分析手法を開発した。次いで地方都市における3階建迄の建物が5棟立地した面積2,300m^2の地区が、地上13階のマンション(1階部分は店舗・駐車場等)に建替えられた事業を対象にケーススタディした結果、その社会的便益・費用を、景観改善効果(電線地中化)・悪化影響(天空遮蔽率の増大)、環境負荷増大影響(発生集中交通による騒音増大)を含めて事後的に推計したところ、便益が45.7億円、費用が27.2億円であること、事業の有無による税収支累計の差額は約6,300万円黒字であることを示した。さらに再開発事業制度の改善が図られた場合、その効果は42%増進することを検証した。 3.自治体知財政策に関する法と経済学的分析 国ではなく地方自治体が、1、2の各政策を通じて市場に介入し、公的資金投入等を行うことの根拠及び妥当性について実態調査を踏まえて検証した。 4.知財政策の法制度設計 以上の成果を踏まえ、自治体知財政策の改善課題をとりまとめるとともに、法制度改善課題を摘出した。
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