研究概要 |
18年度で行った一国の国内を中心として公共財供給と政府規模に関する理論的,実証的な研究を,平成19年度には引き続き進展させた。より具体的には,まず地方分権,社会保障制度,地方経済,財政政策を通じた公共財供給における受益と負担の関係に基づいて,ぞうした多様な公共財供給が政府規模の決定に及ぼす効果を理論的,包括的に整理するとともに,わが国を対象として実証的にも検証した。またい政府規模が過大か過小かに関して,定量的な裏付けとなる規範分析を試みた。そして,地方分権下での各地方政府の公共支出の最適規模に関する理論的研究結果を前提として,地方公共財の最適水準に関する実証分析を行った。その際に,地域間の競争が地方政府による公共財供給にどのような影響をもたらすかについても,政治経済学の手法も利用して,検討した。また,多様化が進展した公共財供給システムでリスクが変化したときの対応能力を考察した。すなわち,景気対策としての公共支出が中長期的に民間投資や消費をクラウドアウトしているのかクラウドインしているのかをい実証的に分析して,公共財供給のマクロ民間経済に与えるメリットとデメリットを評価した。さらに,賦課方式による公的年金(世代間再分配政策),中央政府による地方交付税や補助金(地域間再分配政策)などの移転支出の規模がどのように決まるのかを政治経済学の手法で検討した結果を踏まえて,移転支出の最適水準に関する規範的分析を理論的に行った。こうした一連の研究によって,公共財供給と政府規模の関係について,有意義な結果が得られた。また,国際的な視点からの分析にも着手した。
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