研究課題/領域番号 |
18203021
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
井堀 利宏 東京大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (40145652)
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研究分担者 |
吉川 洋 東京大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (30158414)
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キーワード | 公共財 / 地方分権 / 政府間財政 / 政府支出 / 課税競争 / 国際公共財 / 受益と負担 / 最適規模 |
研究概要 |
地万分権、社会保障制度、地方経済、財政政策を通じた公共財供給における受益と負担の関係に基づいて、多様な公共財供給が政府規模の決定に及ぼす効果を理論的に分析したとともに、わが国を対象として実証的にも検証した。また、政府規模が過大か過小かに関して、定量的な裏付けのある規範分析を行った。地域間の競争が地方政府による公共財供給にどのような影響をもたらすかについても、政治経済学の手法も利用して検討した。とくに、中央政府による地方交付税や補助金(地域間再分配政策)などの移転支出の規模がどのように決まるのかを政治経済学の手法で検討する結果を踏まえて、移転支出の最適水準に関する規範的分析を理論的に行うとともに、シミュレーション分析を用いて、その大きさについて定量的な考察を行った。 同時に、先進諸国の対外経済援助など国際的移転支出も多様な国際公共財供給の1つであるという視点で、そのメカニズムを考察した。政治経済学の成果を利用して、国際社会における公共財供給の多様な供給メカニズムに伴う波及効果を内部化するための工夫についても理論的に整理した。さらに、防衛費、援助費、地球温暖化対策支出などの国際公共財の分担や政策、制度の調整についてこれまでの実証的な研究結果を整理したとともに、国際公共財の負担のあり方を理論的に分析した。 そうした作業を踏まえることで、多様な公共財の概念をもつ国際公共財の経済分析が可能となった。 本研究の理論的枠組みから得られる分析結果を、実証的に検討することで、政府規模に関する規範的な考察をまとめた。国際学会で一連の共同研究の結果を報告したとともに、国際的に権威のある学術雑誌に投稿して、広く学会に公表した。また、わが国の公共財供給に焦点を充てた研究をまとめて、その成果を本として公刊した。
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