研究概要 |
本計画研究組織の研究代表者および連携研究者は,理論分析と実証分析に大別される各班に分かれ,それぞれ独立に制度および組織と経済発展の関わりを分析し,その成果を定例研究会や研究会議に持ち寄って議論する体制を採っている.今年度,理論班は特に企業組織の成長に係る分析と,労働組織の誘因体系の分析において,実証班は労働組織の誘因体系と隼産組織の選択に関する分析において進展を見た.まず,理論班においては一般均衡理論に契約理論モデルを組み込むことによって,企業組織が異なる成長を遂げる過程をモデル化する研究が進められ,また,契約理論に基づく企業内指導力の分析が試みられた.実証班においては桐生地方の機業地域における生産組織選択と,19世紀プロイセン国鉄における内部労働市場の機能に関する分析が顕著な成果を挙げ,また,戦後日本の製鉄業における内部労働市場の形成に関わる実証研究が進められるとともに,その中間的な成果が報告された. これら各班の分担する研究の成果は,研究代表者および連携研究者の全員が共同で運営する月例の「制度と組織の経済学」研究会,および春季と秋季の2回開催される「制度と組織の経済学」研究会議において報告された.また,これらの研究会および研究会議には,毎回,関連分野において精力的な研究に従事している,主どして若手の研究者を国内外から招聘され,報告している.そこにおける議論もまた,本研究計画をさらに深める上で不可欠の知見を提供している.20年度までの成果を発表する場として,21年度には夏季に「制度と組織の経済学」東京会議を開催する。あわせて,8月にオランダにて開催される国際経済史大会において1セッションを,9月に開催される社会経済史学会において1セッションを,いずれも厳しい査読を通過して,組織することとなった.
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