病気・障害がもたらす苦痛や困難とともに、それらへの積極的対処と人生再構築に光を当てだ研究では、まず第1に、薬害HIV被害者生存患者とその家族の20年間を対象とした研究があり、国内学会への発表は多数、国際学会への発表エントリーも多数行えたが、国内外学術誌への発表はまだ2件程度で、多数が来年度に持ち越さ:れた。第2に、職業をもつIBD患者の困難と職業生活適応過程に関する研究、関節リウマチをもつ人々における困難と対処ならびにその関連要因に関する研究、心身に障害を抱えるホームレスの人たちのサポートネットワークと健康関連行動に着眼した研究の3件については、やっと英文原著論文として採用された。第3に、口唇口蓋裂患者における〈生〉の肯定が社会関係の発達と家族との相互作用を通じて得られていく過程をまとめた研究は、国内学会への発表と国際学会への発表エントリーは済み、英文誌への投稿論文は審査中である。 ストレッサー対処に関するテーマでの研究では、第1に、精神障害者への日本社会の態度とスティグマに関する研究、「障害者への社会のまなざし」を偏見・差別以外の角度からも明らかにすることを試みた研究とも、和文雑誌への投稿・掲載に漕ぎ着けた。第2には、中壮年期の男女労働者と看護師のそれぞれを対象とするワーク・フナミリー・コンフリクトの規定要因と疲労・ストレスへの影響に関する研究とも両立支援文化や風土の重要性を明らかにしてくれる貴重な研究となった。前者の研究は英文原著論文として掲載され、後者の研究は国際学会にエントリーされた。第3に、ストレス対処・健康保持能力概念SOCに関しては、慢性疾患セルフマネジメントプログラムの受講患者数百人に対する1年に及ぶ追跡研究、高校生の「生きる力」に繋がる生活探しと題する縦断調査研究、薬害HIV感染生存患者におけるSOCがその7年後のQOL等に及ぼす影響に関する追跡研究、全国一般住民サンプルを用いた生活ストレッサーの進行過程におけるSOCの効果に関する横断研究の各データを用いた、世界でも初めての知見を得てきているが、投稿は国内外とも来年度に持ち越された。
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