研究課題
本研究は、特殊教育とインクルーシブ教育の創造的融合によって、特別支援教育を革新するための理念と基本的な制度設計を総合的に行うことを意図して開始された。今年度は最終年度に当たり、詳細な報告書を作成した。その要点は以下の通りである。特別支援教育は、新しい理念と方法を備えた制度であるが、それが真価を発揮するには、特殊教育とインクルーシブ教育(運動)から、その限界・制約を率直に認識し解消するとともに、長所を継承し、あるいは積極的に摂取しなければならない。それが可能となるには、先進国だけでなく日本の歴史の再検討とインクルーシブ教育運動の文脈を正確に認識する必要がある。特別支援教育は、特殊教育の問題点を解消するだけの新・障害児教育なのか、インクルーシブ教育の革新性と長所なるべき日本的文脈を融合した、普遍性をもつ障害児教育となりうるのか、現時点では曖昧である。問題点の率直で正確な認識と問題点の解消が達成されれば、世界をリードできる障害児教育制度になる可能性がある。そのための条件の一つが専門性の明確化と専門性の継承のシステムであることは自明であるが、特別支援教育の一特徴である教職や外部専門家との協働を可能とする条件並びにシステムの開発こそ必要であり、試行的な考え方を提示した。また専門性に関する基本的な考え方を特別支援教育制度体制において改めて確認しておくことが必要であり、知的障害、視覚障害、聴覚障害について検討したが、専門性の到達点についてはさまざまな研究があるものの、専門性たる根拠についての解明は今後の課題となっている。
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