研究分担者 |
森田 茂之 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授 (70011674)
満渕 俊樹 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80116102)
芥川 一雄 東京理科大学, 理工学部, 教授 (80192920)
中島 啓 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (00201666)
翁 林 九州大学, 大学院・数理学研究院, 准教授 (60304002)
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研究概要 |
昨年度得たトーリック佐々木・アインシュタイン計量の存在の応用として,完備リッチ平坦ケーラー計量の存在問題を研究した.トーリック・ファノ多様体の標準直線束に完備リッチ平坦ケーラー計量が存在することは理論物理では暗黙の了解とされ,きちんとした証明はなされていなかった.しかし,当該研究者は,小野肇,G.Wangとの共同研究で得たトーリック佐々木・アインシュタイン計量の存在を便えば,きちんとした証明が得られることを発見した.トーリック・ファノ多様体の標準直線束に同伴するU(1)束の全空間は高さ1日のトリックダイアグラムから得られるトーリック佐々本多様体になるので,小野肇,G.Wangとの共同研究により佐々木・アインシュタイン計量を持つ.この研究で発したことは,ケーラー・アインシュタイン多様体で知られたカラビの方法が佐々木・アインシュタイン多様体に適用できることである.この方法は標準直線束の長さを変数とする常微分方程式の解としてリッチ平坦ケーラー計量のケーラーポテンシャルを記述するものである.佐々木・アインシュタイン多様体の場合,錐がケーラー錐となるので,錐の高さ関数が標準直線束の長さの役割を果たす.標準直線束の零切断を1点につぶしたものが錐であるから,頂点が標準直線束の零切断に対応する.常微分方程式の解として得られたリッチ平坦ケーラー計量が,標準直線束の零切断に滑らかに延長できることを証明するのがもう一つのポイントである.この解は無限遠で錐に漸近する.このような例は物理学で大田武史-安井幸則によっても複素射影平面の1点ブローアップで構成されているが,漸近の次数が異なるので異なる計量のようである.これらを統一的に研究するのは残された課題である.
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