研究分担者 |
儀我 美一 東京大学, 数理科学研究科, 教授 (70144110)
小池 茂昭 埼玉大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (90205295)
長井 英生 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (70110848)
三上 敏夫 広島大学, 工学研究科, 教授 (70229657)
石井 克幸 神戸大学, 海事科学研究科, 准教授 (40232227)
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研究概要 |
研究成果は以下のようなものである.1.ノイマン型境界条件付きのハミルトン・ヤコビ方程式に対するオーブリー・マザー集合の定義,オーブリー・マザー集合に基づく解の表現公式の確立,スコロホッド問題の可解性などの成果を得た.2.特異性の強い積分核を持つ非線形積分方程式に対するディリクレ問題の可解性を粘性解の枠組みを用いて確立した.3.ハミルトン・ヤコビ方程式の解の漸近解への収束率を決定する要因を,非線形項が2次式のときに明らかにした.4.弱KAM理論を応用して,陰的な障害物条件をもつ1階ハミルトン・ヤコビ方程式系について粘性解の比較定理を得た.さらに,制限条件をもつハミルトン・ヤコビ型変分不等式に対する解の表現定理を得た.5.特異拡散方程式から派生した空間変数に対して不連続なハミルトン・ヤコビ方程式に対して,比較定理を証明した.このハミルトニアンの不連続性は今まで扱われていないものである.6.1階導関数の項が線形以上の増大度を持ち,その係数と非斉次項が非有界関数である場合に完全非線形2階一様楕円型方程式のLp粘性解の弱ハルナック不等式を導き,プラグレム・リンデレフの定理を一般化した.7.ノーテ・ローゼンブラットの再配分の確率過程版をノーテ・ローゼンブラット過程と定義し,ノーテ・ローゼンブラット過程の存在と一意性,双対定理,ある種の極限定理による特徴付けを与えた.8.アメリカン・オプションに現れる放物型変分不等式に対する時間離散近似を研究し,この近似解の誤差評価と近似自由境界の収束を半群理論と粘性解の方法によって得た.9.資産の目標成長率を時間大域的にみて下回る確率を最小化する問題について,その最適戦略はある種のリスク鋭敏型ポートフォーリオ最適化問題の最適戦略に他ならないことを,ハミルトン・ヤコビ・ベルマン方程式の解析を通じて示した.
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