研究概要 |
生物の形づくりのモデルとして提唱されている反応拡散方程式系および幾何学的変分問題の解の性質を「解の形状」を中心として解明することを目的として, 以下の課題に取組む. (1) 発生生物学で最も広く用いられているGiererとMeinhardtによる活性因子-抑制因子系のダイナミクスを解明する. (2) 反応拡散系に現れる界面の運動は動的なパターン形成を理解するうえで最も基本的なもののひとつである.具体的なモデル方程式系について, その進行波解の構造と振舞いを空間の非均一性との関係から調べる. (3) 閉曲面上のパターン形成は, 本質的に大域的な現象であり, しかも曲面そのものが運動する場合には, 数学的研究は殆どなされていない.そこでシミュレーションを系統的に行い, どのようなことが起きているのかをまず把握し, それを厳密に調べていくための基礎的な数学的枠組みを構築する. (4) 適当な束縛条件を満たす閉曲面族の中で曲げエネルギーを極小化するものは赤血球の形状を現している.このような幾何学的変分問題の停留点となる閉曲面や閉曲線を求め, その勾配流の解の振舞いを明らかにする.
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