研究概要 |
計画全体としては、波長4000A-5800A用(青玉)と波長5500A-7000A用(赤玉)の二つのグリズムを製作することにしていた。技術的検討の結果、製作順序を当初計画と入れ替えることになった。平成18年度はまず赤玉を製作した。赤玉は成功裏に製作され、平成19年度にすばる望遠鏡につけて性能試験観測を行った。性能試験観測が悪天候のため予定より遅れ、青玉の設計・製作もそれに伴って若干遅れたが、平成19年度には青玉も成功裏に製作され、実験室での性能確認は完了した。平成20年6月に望遠鏡につけて試験観測を行い、所期の性能を実現していることを確認した。以上により、本研究の大きな目的の一つであった二つのグリズムの製作は成功裏に完了した。赤玉については平成49年度に最初の本観測データを取得した。平成20年度の観測は悪天候のため予定の1/3程度しかデータが得られなかった。 データ解析用のソフトウエアは、平成19年度から独自開発の方針の下で開発をスタートした。骨格部分については平成19年度にほぼ作り終えたが、実際のデータに適用すると、予期しなかった課題や、複雑な微調整が多く、それらを一つずつつぶしてゆくのにほぼこの1年が費やされた。 サイエンスに関しては以下の成果があった。SXDSと呼ばれる領域内の1平方度において赤方偏移が3.1,3.7,5.7の三つの時代にある858個のライマンα輝線銀河の光度関数を求めた。その結果、銀河のうちでライマンα輝線を出すものの割合が過去ほど高くなることを見いだした。また、赤方偏移3付近にあるライマンブレーク銀河の観測ら、ダークマターハローの質量が、その中にある銀河の星質量と星生成率と深く関わっているという示唆を得た。
|