研究課題/領域番号 |
18204014
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
尾中 敬 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (30143358)
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研究分担者 |
田辺 俊彦 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教 (90179812)
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キーワード | 大マジェラン雲 / 赤外線衛星観測 / 近傍銀河 / 「あかり」衛星 / 星間物質 / 星間塵 / 星形成 |
研究概要 |
平成20年度は「あかり」衛星大マジェラン雲サーベイ観測のデータ整約を進め、点光源カタログの第一版を作成し、現在そのカタログの検証を行っている。カタログを用いた解析から、漸近赤色巨星枝の初期段階あるいは赤色巨星の最終段階から質量放出が起きている可能性を明瞭に示した。また同じ解析から、11ミクロンに超過のある巨星が多数存在することを示し、酸化アルミニウム粒子が寄与している可能性を示唆した。一方、分光サーベイデータ解析から、大マジェラン雲中の若い大質量星の周りのH20及びCO2氷の存在比を導出し、大マジェラン雲中では我々の銀河系より、CO2氷の存在量が倍以上大きいことを示唆し、「あかり」による追観測により確認した。この結果は、大マジェラン雲で星生成活動が高いことが理由であると考えられる。この結果をさらに大量の天体で確認するため、現在金石外線分光観測を継続している。また、大マジェラン雲中の超新星残骸のデータ解析を行い、Spitzer衛星による遠赤外線観測で示されるデータに対して、15ミクロンに超過成分が存在することを示し、超新星残骸で、予想より星間塵の破壊が非効率的である可能性を示した。楕円銀河の観測からは、赤外線未同定バンドのバンド比が楕円銀河では通常のバンド比とは大きく異なることを示し、中性のバンドキャリアが卓越している可能性を明瞭にしめした。また空間分布から、バンドキャリアは晩期型星からの質量放出で生成されているよりも、サブミクロンサイズの星間塵と同じような過程で生成されていることを示した。綾小銀河の観測からは、綾小銀河での星生成活動が間欠的に生じている可能性を明瞭にしめした。
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