研究課題
平成20年春の打ち上げを目指している近赤外線背景放射の観測を目的とするロケット実験CIBERの準備を行った。望遠鏡4台を設計・製作した。本研究費により波長0.8ミクロンから1.6ミクロンを低分散で分光する分光器を製作した。その他の3台(撮像器2台、黄道光測定器1台)はアメリカおよび韓国の共同研究者による経費負担で製作された。これらの望遠鏡を常温で光学特性の評価を行い、十分な性能を有していることを確かめた。また望遠鏡を冷却する液体窒素冷却クライオスタットの設計・製作を名古屋大学において行い、所期の性能を有していることを確かめた。今後望遠鏡をクライオスタットに取り付け、打ち上げの振動に耐えるかどうかの環境試験、低温での光学特性の評価、絶対値の較正等を行う予定である。IRTSデータの再解析を進めた。これまでより広い領域のデータを解析し、背景放射のスペクトルが以前の結果と一致することを確かめた。また空間的揺らぎの2次元画像を初めて作成し空間周波数による分布を調べ、〜2度に特有な分布を持つことを見いだした。この揺らぎは予想より大きく、星・銀河等の前景放射成分では説明できないことがわかった。この結果は近日中に論文としてとりまとめられる予定である。平成17年2月に打ち上げられた我が国初の赤外線天文衛星「あかり」は順調に飛行し、良好な観測データを送り続けている。そのうち赤外線カメラによる北黄極域のサーベイデータを用い、背景放射の揺らぎの解析を波長2ミクロン、3.5ミクロン、5.0ミクロンで行った。現在まだ解析中であるが興味深い結果が期待されている。
すべて 2006
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New Astronomy Review Vol.50 I-3
ページ: 215-220