研究課題
平成18年度の経費によって製作したクライオスタットおよび望遠鏡を一体として組み立て観測装置として完成させた。望遠鏡の低温下での結像性能が良好であることを確認するとともに、振動試験を宇宙研において実施しロケット打ち上げ環境に耐えられることを確かめた。その後CIBERをカリフォルニア工科大学に輸送し、エレクトロニクスとともに最終的な試験を行った。平成20年2月にはNASAのワロップス基地においてテレメータ、姿勢制御系との噛み合わせを行うとともに、環境試験を行い、ロケット打ち上げに問題がないことを確認した。これにより、平成20年6〜7月期にCIBER実験を行うことが可能となった。前年度に引き続きIRTSのデータ解析を進め、大角度の揺らぎの解析をおこなった。その結果、数度のスケールでの有意な角度揺らぎの存在が確認され、星・銀河等の前景の放射成分では説明できないことがわかった。これは観測された未知の一様放射成分が銀河系外起源であることを示しているものである。平成18年2月に打ち上げられて我が国初の赤外線天文衛星{あかり}に搭載されている赤外線カメラによって観測された黄道の極方向の撮像データの解析を行った。季節変化から黄道光のモデルを作成し、それにより黄道光成分を差し引いた結果、近赤外線領域に空の明るさにIRTSと矛盾しない一定の等方成分が残ることが確認された。また、約2度に及ぶ天域について空の揺らぎをしらべ、IRTSとほぼ同様な大きな揺らぎを見いだした。これらの結果は全く独立な実験からIRTSの観測と同じ結果を得たものであり、銀河形外起源の放射成分が確実に存在することが確認されたといえる。
すべて 2007
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Publication of Astronomical Society of Japan 59
ページ: S515-S528
ページ: S503-S514