研究課題
基盤研究(A)
テレスコープアレイ実験では、米国ユタ州の砂漠において極高エネルギー宇宙線が大気中で生成する巨大空気シャワーを大気蛍光望遠鏡で観測する。観測したエネルギーを絶対較正するために、小型電子線形加速器(EMAX=40MeV,出力6.4mWでTA-LINACと呼ぶ)をユタ州の観測サイトに設置し、エネルギーと強度が分かった電子ビームを大気中に射出して、それによって発生する空気シャワーを大気蛍光望遠鏡で観測して、望遠鏡部のend-to-endの絶対較正するという画期的な方法を考案した。そこでTA-LINACの性能として、40MeVのエネルギーを1%の決定精度で出力することと、定格出力160pC/pulse(1μsec幅)のビーム電流値を数%以内の精度で測定するという目標を立てた。研究分担者の他に宇宙線研究所の研究員の芝田達伸と博士課程の池田大輔が協力している。本科研費を受け、ビームシミュレーションをもとにTA-LINACの設計を行い、ビームによるシャワー観測のシミュレーションを行って絶対較正方法を検討した。高エネルギー加速器研究機構(KEK)において、その建設を行い、2008年1月に完成し、加速ビームの観測に成功した。ビームエネルギーを決定する90度偏向電磁石の磁場の値を1%以下で決定できた。更にビームエネルギーの安定性に影響する磁場の安定性も測定し、エネルギーの揺らぎは中心値39.75MeVに対して±0.01%程度であった。所定の1μsec幅の出力も確認した。また、ビームラインの最下流に設置したファラデーカップによってビームの絶対電荷量を測定し、取り出しビーム窓の直前に設置したコアモニターでビーム電流値の相対値を測定した結果、これらの相関関係を±5%程度の系統誤差で測定することができた。これら目標とした性能を確認した後に、TA-LINACを米国ユタ州へ輸送した。米国・ユタ州では、TA-LINACの設置場所におけるコンクリートの基礎と放射線管理用フェンス等の工事が行われている。
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Nuclear Physics B (Proc. Suppl. ) 175-176
ページ: 221-226
Nucl. Instr. and Meth. A 597
ページ: 61-66
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