研究課題
基盤研究(A)
SOI(silicon on insulator)はシリコンウエファ上にシリコン酸化膜を形成し、その上にCMOS回路を集積する半導体技術である。ウエファに高抵抗シリコンを用いPN接合を形成すると放射線がウエファ中に落とした信号を電気的に取り出すことが可能になる。その信号を酸化膜上部のCMOS回路で処理することで、粒子測定用ピクセルセンサーを開発することが本研究の目的である。半導体プロセスには(株)沖電気のIC量産ラインを用いることで、製造プロセスの信頼性と継続性を高めた。平成18年には128x128ピクセルをもつピクセルセンサーおよび試験用チップを試作した。このセンサーを用いて、パルスレーザ光への高い感度が確認され、続いて行ったB線試験でも信号が確認された。またTCADシミュレーションを行い「不純物打ち込みエネルギーが高いほどブレークダウン耐性が向上する」という予想を得た。それに従って打ち込みエネルギーを変えたところ、予想通りの効果があり、試験チップではブレークダウン電圧が40Vから60Vに改善した。またSOICMOS回路の耐放射線性の試験の結果、CMOSトランジスタがガンマ線60MRadの照射後もウエファに補正電圧を与えることで動作可能であった。またピクセル読み出し回路にした場合も30MRadまで入力信号に対する応答があった。現在計画されているSuper KEKBのピクセルセンサーとしても使用可能なデバイスと考えられる。平成19年にはこれらの知見に基づきSuper B factoryでの使用を考慮したpixel sensorの設計・製造を行った。評価は始まったところであるが、IV特性などの静特性は良好だった。引き続き動的な特性を測るための試験を行う予定である。
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http://rd.kek.jp/project/soi/index.html