研究課題/領域番号 |
18204030
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
谷垣 勝己 東北大学, 大学院理学研究科, 教授 (60305612)
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研究分担者 |
熊代 良太郎 東北大学, 高等教育開発推進センター, 助手 (00396417)
木村 憲彰 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (30292311)
松岡 英一 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (20400228)
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キーワード | クラスレート / ナノ材料 / フォノン / 超伝導 / 物性実験 / 熱伝導 |
研究概要 |
Ba_<24>Ge_<100>とBa_<24>Si_<100>物質は結晶学的に同等な物質であるが、その電子物性は大きく異なる事を見出した。Ba_<24>Ge_<100>とBa_<24>Si_<100>は両方とも超伝導を示すが、圧力に対する臨界温度の依存性が反対の傾向を示す。また、精密X線回折にもとづき、MEM/Rietveld解析をおこなったところ、Ba_<24>Si_<100>におけるBaの電密度分布は等方的であるのに対して、Ba_<24>Ge_<100>は低温で異方性を示すことが明らかになった。この実験事実は、Baのラットリングフォノンが超伝導発現機構に関係している可能性を示唆するものである。そこで、Ba_<24>Ge_<100>とBa_<24>Si_<100>の2つの物質の高圧力下でのBaラットリングフォノンモードを、精密X線構造解析法を用いて検討し、2つの物質の詳細な物性パラメータを圧力の関数として決定した。残念ながら、新しいフォノンモードであるラットリングフォノンと超伝導機構が本当に関係しているかどうかの正確な判断ができる十分な分解能で議論することができなかった。一方、ラットリングフォノンの観測には、固体比熱を正確に測定する事が重要な鍵を握る。そこで、^3He極低温用温度制御システム、比熱測定システム、熱起電能測定システム、熱伝導測定システムにより、ラットリングフォノンの状態を種々の物性の温度変化の観点から詳細に研究した。その結果、熱電係数であるゼーベック係数においても、Baの異常熱振動に依存すると考えられる温度変化を観測することができた。今後はさらに、厳密な比熱解析、ホール測定、ラマン測定など、物性変数を精密に決定するための重要ないくつかの基本的な測定をする必要がある。
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