研究課題
広い空間の閉じ込められた原子の異常振動が関係した分散の小さいフォノン(ラットリングフォノンと称されている)は、音響フォノンと反交差をして、散乱により熱伝導を著しく阻害することが、スクッテルダイトやクラスレート物質で報告されている。また最近、このような広い空間を有する幾つかの物質群で、原子の異常熱振動と関係していると考えられる超電導などの電子物性が、特殊な幾何構造を有するパイロクロアや開放骨格系のクラスレートで報告されている。本研究では、多彩な幾何構造を有するクラスレートを対象として、結晶中の内部空間に閉じ込められた原子の異常振動と構造・物性の相関を探究するために、I内部空間の大きさが一定の場合の内包原子の大きさの影響および、II内包原子の大きさが一定の場合の骨格構造原子を変えることによる内部空間の大きさの影響の二つの観点に中心をおいて、M_8Ga_<16>Ge_<30>(M=Sr,Ba,Eu)およびBa_<24>IV_<100>(IV=Si,Ge)の物質群の構造と物性を詳細に検討した。M_8Ga_<16>Ge_<30>(M=Sr,Ba,Eu)クラスレート物質系では、内殻準位に対して軟X線光電子分光手段を用いた研究から、骨格構造に関して従来とは異なる重要な知見を得ることできた。一方、開放骨格を有するクラスレート物質Ba_<24>IV_<100>(IV=Si,Ge)では、従来報告されているGe超伝導体に対して、新しい同構造のSi超伝導体の存在を見出し、同一の内包原子の運動に異なる大きさの内部空間が与える影響の観点から研究を進めた。その結果、内包Ba原子の運動が電子物性に大きな影響を与える状況を二つの物質の比較から明白にすることができた。
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