まず、多様なYb原子の量子縮退気体を生成することに成功した。まず、フェルミ同位体171Ybに対しては、ボソン同位体174Ybとの光トラップ中で協同冷却により171Ybをフェルミ温度の0.7倍以下までの冷却に成功した。173Ybについては、6成分のスピン状態間の衝突を利用した蒸発冷却を行い、フェルミ温度の0.4倍以下までの冷却に成功し、さらにBECとフェルミ縮退の混合の生成にも成功した。また、170Yb同位体については10000程度の原子数のBECを生成することに成功し、また共同冷却により176Yb BECと174Yb BECの混合系を生成することに成功した。 また、2光子光会合分光法を、6つの同位体について網羅的に行い、これら6つの同位体について基底状態の束縛状態の結合エネルギーを決定することにより、全ての同位体の散乱長、および異種同位体間の散乱長を高精度に決定することに成功した。 また、超狭線幅遷移を利用した量子気体の高分解能プローブのための、超高安定な光源を開発し、高分解能レーザー分光に成功した。ISO-3PO遷移(578nm)の光源に対しては、1030nmと1319nmの二つの超高安定なモノリシック型YAGレーザーの和周波発生により数mW程度の出力を得て、これをレーザー冷却されたフェルミ同位体171Yb原子に共鳴励起し、フェルミ縮退した分布のスペクトルを得ることに成功した。また、ISO-3P2遷移(507nm)に対しても、1014nmの半導体レーザー光の第二高調波発生により約10mWの出力を得ることに成功し、BECの励起に成功した。
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