研究課題
本研究は、マントル最下部に相当する超高圧実験を行うことにより、ペロフスカイト/ポストペロフスカイト相の安定領域、熱弾性的性質、元素分配などを明らかにすることを目的としている。今年度はまず、ポストペロフスカイト相の安定性に関する鉄の効果を見積もる目的で、放射光X線を用いたMgSiO3-FeSiO3系の相平衡実験を行った。その結果、鉄が含まれることにより、ペロフスカイト相に対するポストペロフスカイト相の安定領域が拡大する、すなわちペロフスカイト相からポストペロフスカイト相への相転移圧力が増加することが明らかになった。また、温度の制御に優れた外熱式のダイヤモンドアンビルセルを用いて、ペロフスカイト相およびポストペロフスカイト相の熱膨張率を正確に測定した。その結果、マントル最下部における熱膨張率は常圧のわずか1/4程度にすぎないことがわかった。このことはプルームの発生に化学組成の違いに起因する浮力が重要であることを示唆している。また今年度の予算でイオンスライサ薄膜試料作成装置を導入し、分析透過型電子顕微鏡を用いて、ペロフスカイト/ポストペロフスカイトとマグネシオウスタイトの間の鉄の分配を決定した。その結果、ペロフスカイトとマグネシオウスタイトの間の分配ははっきりとした圧力依存性が見られない一方、大きな温度依存性があることがわかった。また最下部マントルにおいて、鉄はマグネシオウスタイトへより濃集することが明らかになった。
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