研究概要 |
新生代における陸上基礎生産と長期的な地球寒冷化との関係を解明するため,初年度は以下の研究を実施した. 1.始新世・漸新世堆積岩試料の採取と試料調整:基礎試錐「三陸沖」について,ガスクロマトグラフ質量分析計(GC-MS:現有設備)を用いて被子植物バイオマーカーと裸子植物バイオマーカーの分析を行い,分子レベル炭素・水素同位体比測定のための前処理と試料調整を行った.また,学術振興会日ロ共同研究(代表,小笠原憲四郎,筑波大学教授)によりロシア国サハリン島において古第三紀堆積岩試料(始新世,Takaradai層,漸新世,Arakai層)の採取を行い,試料調整と有機物抽出,CNS濃度の測定を元素分析計(現有設備)により行った.一部の試料についてはGC-MSによる珪藻バイオマーカーの分析を行った.また,北海道の中新世珪質泥岩(八雲層,望来層,声問層)についても試料採取と同様の分析を行った.古第三紀,新第三紀珪質泥岩より同時代の海洋における炭素固定を評価した.また,インドネシアの古第三紀,新第三紀の陸成堆積岩試料の提供を国際石油開発(株)に申し入れた. 2.植物バイオマーカーの分子レベル炭素同位体比による大陸基礎生産力の評価:本研究費で申請していた分子レベル炭素・水素同位体比を測定するための設備備品,DELTA V Advantage質量分析計とCHN測定用GC-C/TC IIIインターフェイス(サーモエレクトロン社)が納入された.同装置によってバイオマーカーの炭素・水素同位体比を測定するために必要な炭化水素標準物質を準備し,デュアルインレット法による標準炭化水素の炭素・水素同位体比測定を行った.その結果,次年度からの陸上高等植物,海洋植物プランクトンのバイオマーカー炭素・水素同位体比測定が可能になった.
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