研究課題/領域番号 |
18204046
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
大槻 憲四郎 東北大学, 大学院理学研究科, 教授 (70004497)
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研究分担者 |
藤巻 宏和 東北大学, 大学院理学研究科, 教授 (90133933)
松澤 暢 東北大学, 大学院理学研究科, 助教授 (20190449)
三浦 哲 東北大学, 大学院理学研究科, 助教授 (70181849)
中村 教博 東北大学, 大学院理学研究科, 助手 (80302248)
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キーワード | 地震予知 / 宮城県沖地震 / 深層地下水 / 水温 / 水位 / ラドン / 湧水量 / ガス湧出量 |
研究概要 |
宮城県沖地震が2001年から20年以内に発生する発生確率は80%とされていたが、2005年8月にM7.2の地震が宮城県沖の陸寄りで発生した。これは想定されていた宮城県沖地震より小規模で、真の宮城県沖地震の到来は早まったとする見解が有力である。その後、この地震に関する種々の分析が進み、1978年宮城県沖地震のアスペリティーの約4分の1が破壊し、地震の後、安定すべり領域がその南に広がったことが明らかとなった。 本研究計画の目的は、深層地下水の温度、水位、水とガスの湧出量、ラドン・各種イオン等の濃度に関する連続観測網を構築し、宮城県沖地震の前兆現象を捉えることである。 (1)先ず平成18年に宮城県との間で締結された地震・津波災害等に関する『東北大学と宮城県との連携と協力に関する協定書』を活用し、宮城県から提供された県内に存在する私有の深層ボーリングのリストを分析し、使用状況・地質条件を検討して観測に適する深層ボーリングを抽出した。 (2)抽出した深層ボーリングの中、すでに観測を手掛けていた仙台市街地にある「愛宕の湯」に石英温度計(分解能0.002m℃)、および水位計を設置した。 (3)仙台市北部中山の自噴井「いずみ中山4号泉」の途中が異物で詰まっていることが判明し、急遽異物除去と洗浄工事を実施した。ここに石英温度計、水とガスの流量計、およびラドン計を設置した。 (4)東松島町大塩の「太華の湯」に石英温度計と水位計を設置した。 (5)女川町温泉保養所にラドン計を設置する交渉をし、設置の見通しとなった。志津川町「南三陸温泉」にラドン計を設置するもまだ許可が得られていない。 (6)「愛宕の湯」と「いずみ中山4号泉」には、インターネット経由のデータ遠隔取得のシステムを設置し終えた。 (7)「愛宕の湯」の温度計は、2005年8月の宮城県沖地震の最大余震(同年12月、M6.4)の前兆的温度変化を捉えることに成功したようである。地震の2.5時間前から温度が低下し始めて地震の直前には5m℃に達した。そして、地震の直後に再び5m℃急上昇してほほ正常にもどった。なお、この深井戸の個性を詳しく調べた結果、水位は気圧、降水量、および地球潮汐に連動して変化するものの、水温は地球潮汐には応答するが、気圧と降水量の影響を受けないことを確認した。この研究成果は、2006年12月のAGUで発表した。
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