研究課題/領域番号 |
18204048
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
千葉 聡 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 准教授 (10236812)
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研究分担者 |
牧野 渡 東北大学, 大学院生・命科学研究科, 助教 (90372309)
山崎 和仁 神戸大学, 理学部, 助教 (20335417)
豊福 高志 海洋研究開発機構, 地球内部変動研究センター, 研究員 (30371719)
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キーワード | 進化 / 種分化 / 軟体動物 / 適応放散 / 海洋島 / 固有種 |
研究概要 |
本研究では種数が少なく空白のニッチが多く、また新しい環境が広く分布する、という環境条件のもとで、どのようなプロセスが急速な適応放散をもたらすかを明らかにすることを目的として、小笠原諸島の固有陸産貝類の現生および化石種について古生物学的、遺伝学的解析を行った。現生および化石の殻のd13C/12Cを求め、その生活様式との比較から過去のhabitat利用を推測することが可能になった。その結果と化石の年代との比較から、島の中でのhabitat利用の分化にともなう種分化が、過去数千年のうちに起きたことを示した。また同時に形態の分化も生じており、島の中で地理的な隔離なしに、生態学的なプロセスによる同所的種分化が起きた可能性が示唆された。 小笠原諸島の陸産貝類のなかで特に形態の分化が著しいエンザガイ属について、形態解析と生態学的解析を行った結果、極端に異なる形態は、住み場所の物理的構造への適応によって生じたことが示された。また同じ環境への適応の結果でありながら、異なる適応戦略をとった結果、逆方向への形態の分化が生じているケースが示された。 小笠原の固有淡水貝類であるオガサワラカワニナの遺伝的解析を行った結果、このグループは琉球列島のタケノコカワニナに最も近縁であり、300-400万年前に小笠原に渡来し、その後小笠原で陸封され、生活史を完全に淡水で完了する生活史を獲得したことが示された。
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