研究概要 |
我々は十分に制御された高温高圧実験と化学分析を武器に、惑星初期分化過程を実験的に再現し、46億年から40億年にいたる地球初期進化を『フォワード問題』として検討する。本研究の重要な柱のひとつである高温高圧下でのマントルの流動変形特性を解明するため、本科学研究費を用いて、東京工業大学のキュービックマルチアンビルプレスを改造し、超高圧変形実験装置を作成した。超高圧変形実験装置は2段式マルチアンビルに上下の可動ラムを加えて、15GPa以上の圧力において様々な変形速度での岩石流動実験を可能とした。2006年12月末にガイドブロックの改造が終了し、2007年3月までに各種の動作テストが終了した。下部マントルに相当する25GPa 1600℃での定量的な岩石の流動特性試験が可能であることが確認できた。 高橋らは既存のマルチアンビル装置を用いて地球中心核の主成分である溶融鉄への水素溶解度および炭素溶解度と、鉄水素合金FeHおよびFe3Cの融点をSPRING-8放射光を用いて世界で始めての超高圧下で測定することに成功した。FeHおよびFe3C融点のクラペイロン勾配は、Fe、FeS, FeOに比べてはるかに少なく、水素および炭素が地球の核に多量に存在した場合、外核の温度は従来の予想4000Kより最大1000K減少することが可能である。これらの研究成果は2007年5月の第7回HPMPS国際会議iにおいて発表する。 関根と高橋は共同して衝撃圧縮実験を行い、静的な高温高圧条件での金属メルトとシリケイトメルトの軽元素分配と衝撃圧縮時の元素分配にどのような違いが有るかを検討に着手した。予察的な実験から、N, S, Oについては異常は見られなかったが、Cについては衝撃圧縮時に効果的に鉄メルトへの吸収が起こることがわかった。
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