研究概要 |
高橋らは、マルチアンビル装置を用いて地球中心核の主成分である溶融鉄への水素溶解度および炭素溶解度と、鉄水素合金FeHおよびFe3Cの融点をSPRING-8放射光を用いて世界で始めての超高圧下で測定することに成功した。FeHおよびFe3C融点のクラペイロン勾配は、Fe、FeS,FeOに比べてはるかに少なく、水素および炭素が地球の核に多量に存在した場合、外核の温度は従来の予想4000Kより最大1000K減少することが可能である。これらの研究成果は2007年5月の第7回HPMPS国際会議において発表し、Sakamaki他(2008)、Nakajima他(2008)の2編の論文がPhys.Earth Planet Inter誌に印刷中である。 関根と高橋は共同して衝撃圧縮実験を行い、静的な高温高圧条件での金属メルトとシリケイトメルトの軽元素分配と衝撃圧縮時の元素分配にどのような違いが有るかを検討した。衝撃圧縮時の短い加熱時間内では、C、N,S,Oなどの軽元素が効果的に鉄メルトへの吸収が起こることは無いことがが明らかになった。ただし、岩石中に分散した金属メルトは衝撃圧縮時の短時間でも急速に粒成長する条件があることが明らかになった。粒成長の起きる条件についてさらに検討中である。 西原らは、高温高圧下でのマントルの流動変形特性を解明するため、東京工業大学に超高圧岩石変形実験装置をKAT-Dを作成し、下部マントルに相当する25GPa 1600℃での定量的な岩石の流動特性試験を行いつつある。平成19年度は下部マントル構成物質のひとつである(MgFe)0の粒成長実験を行った。
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